静岡ちらしとは
この他にも虹鱒、うなぎ、穴子、茹で海老などの静岡県産の具材を使って調理されたもので、季節、地域やお店により具材の種類や量は異なります。
加盟店それぞれが工夫を凝らし、風情と趣で彩りました。
静岡県の四季折々の「静岡ちらし」をお楽しみください。
静岡ちらしのルーツ〜「長門鮓」について
「改元紀行」という古い紀行文をまとめたものに、享和元年(1801年)、幕府の役人が長門鮓を食べた時の感想が綴られています。
「小吉田の立場に到れば酒屋あり。小さき桶に鮓を漬けてひさぐ。長門鮓といふ。味ひよろし。」
また、ロシア使節応接掛江戸凱旋には嘉永七年(1854年)「小吉田に小休し、
桶すしのチラシの押し鮓長門鮓を食ふ。小桶に入りて売る。鯛の切り身より種種品有りて味美なり。興津に入り午餐。鯛の名所なり・・・・・」と記されています。
「江戸時代、現在の静岡市の国吉田に作り酒屋の稲葉家があって、そこで売っていたんですが、旅人の評判になり、参勤交代の時、長門の殿様が美味しいので感心して長門鮓という名前にしろと、言ったそうです」稲葉家16代当主談
長門鮓の桶は直径10cm×深さ7cmとかなり小さいものから、さまざまなサイズがあり、値段も違ったようです。当時はまだ米酢がなく、白梅酢を使ったと思われます。
このように、静岡では昔から「すし」が人々のくらしを彩る食として親しまれていました。静岡の海の幸、山の幸がもたらした、幸福な出会いがそこにはあったことでしょう。江戸時代の人々のくらしを思いながら静岡ちらしを召し上がるのも、また一興かもしれません。
参考資料:静岡県鮨商生活衛生同業組合 副理事長 竹内勝利
「幻のすし”長門鮓”物語」より